JSAMマレーシア日本人学生会

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マレーシアと北朝鮮の関係。留学先としての安全性は?

金正男暗殺事件以降、ここ数日ニュースで注目される「マレーシア」。
 
北朝鮮人の学生が多く留学している、北朝鮮大使館は工作拠点として展開されている、朝鮮人民軍のサイバー作戦基地が設置されている、北朝鮮国営レストランが堂々と営業している…マレーシアに関する怪しい(?)ウワサが後を経ちません。
 
さて、これだけ聞くと危険なイメージを持ちますが
果たしてマレーシアでの留学生活は安全なのでしょうか?
マレーシアの生活において、北朝鮮人と関わる事はあるのでしょうか?
 
改めて両国の関係とマレーシア留学の実態を、マレーシア在住の一人として、そして北朝鮮人の同級生を多く持つ学生の一人として整理してみたいと思います。

 

 

・そもそも世界中での北朝鮮の扱いって?
皆さんの御存知の通り、日本や韓国、アメリカは北朝鮮と国交関係を結んでいません。
他にも、フランス、イスラエル、サウジアラビア等の26か国が北朝鮮と国交が無く、アルゼンチン、イラク、チリ、ボツワナの4カ国はかつて国交を結んでいましたが現在は国交断絶しています。
 
多くの日本人が、北朝鮮という国が世界から孤立した独裁国家だと思っているのではないでしょうか?
事実から言うと、そんなことはありません。
北朝鮮は国連加盟国193か国のうち162か国(世界中の約84%の国)と国交を有しています。
 

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緑色の国々は北朝鮮と国交を有し、灰色の国々は国交を有さない。赤色の国家は国交を断絶している。
 
ここでいう「国交を有する」とはお互いを「国家」として承認する形であり、決して仲が良いという訳ではありません。
 
 
・各国の対応は意外?欧米諸国イギリスやドイツは平壌に大使館を設置?!
驚きなのは、東・東南アジアで北朝鮮大使館がない国は、日本・韓国・台湾とフィリピン、そしてブルネイだけという事実です。
また、欧米諸国のイギリス、ドイツ、イタリア、スイス、スペインの各国内、EU圏ではフランス意外の殆どの国にも北朝鮮大使館があります。
 
大使館は在外公館の最高位であり、それを設置するということは国内に在外特権(不可侵の敷地)を与え、各国の大使を設置するという事です。
表面上だけの国交関係では、これだけの責任やリスクが生じる大使館設置を行うことはないでしょう。
イギリス、ドイツ、スウェーデンに至っては平壌に各国の大使館を相互設置しており、その関係性の深さが伺えます。
各国の外交員達は、平壌にてどのような暮らしをしているのでしょうか。
 
 
 
・マレーシアは北朝鮮の’超'友好国だった
そんな平壌に大使館を相互設置している国の1つが、マレーシアです。
そして驚くことに、マレーシアのパスポートは世界で唯一北朝鮮にビザなしで入国が出来ます。
同時に北朝鮮人もビザ無しで、自由にマレーシアに入国が可能です(金正男事件以降、ビザ無し相互渡航は停止中)。
 
そのため北朝鮮←→マレーシアの人の行き来が多く、外交員以外にも多くの北朝鮮人労働者が首都クアラルンプールを中心に生活しています。
その家族である子どもたち(北朝鮮籍の学生)も勿論、マレーシア国内の大学や語学学校で普通に生活をしている訳です。
 
 
・マレーシアに北朝鮮の学生が居るって本当?
事実です。
これは確証が取れていないのであくまで噂レベルになりますが、マレーシア国内に40人ほどの北朝鮮籍の学生が存在していると聞いています。
 
2013年に、クアラルンプール市内にキャンパスを持つHELP University(ヘルプ大学)は、北朝鮮の第3代最高指導者の金正恩総書記に対して「経済学名誉博士号」を贈っています。
同大学のポール・チャン総長は各国への教育支援活動家であり、「北朝鮮の国民との間の懸け橋になる」との理由で、学内外の反対を押し切り学位を授与しています。
 
HELP大学は北朝鮮人の学生も受け入れており、その理由については
表面上は「教育とは国境に関係なく人類みな平等に与えられるものであり、各国から留学生が集まるHELP大学としては全世界の生徒に教育を与える機会」としているものの、
 
「売名を目的とした炎上商法」
「南朝鮮(韓国)留学生が多いHELP内で北と南の学生が出会うことで、国家間では起き得ない新たな変革が起きるのではという期待があった」
 
などの他の多くの理由についても噂されています。
 
金正恩総書記に対しての学位授与により賛否両論あるものの世界中のニュースに取り上げられたのも事実ですし、南(韓国)の学生と北の学生が様々な話題について討論をしているのも目の前で見てきました。
 
 
・北朝鮮人の学生ってどんな感じ?
ボク個人の経験として、4人の北朝鮮出身の学生と会話を交わした経験があります。
全員フレンドリーで話しかけやすく、そのうちの1人に至ってはFacebookとInstagramをフォローし合っているので未だにオンライン上でも付き合いがあります。
 
全員に共通して言えることは、僕らが彼らの国に興味があるように、彼らも僕らの国に興味がある事。
これは何処の国の留学生との初対面時のあるあるなのですが、生まれ育った街の様子や旅行の名所、食べ物についての話で盛り上がりました。
 
その中でも特に印象に残った事は、彼らが最高指導者である金一族を心の底からリスペクトし、共産主義について高い誇りを持っていたことです。
 
 
・結局、留学先としては安全なの?
大学付属の英語学校に通っていた時に、北朝鮮出身のクラスメイトに日本語を教えてくれと頼まれた事がありました。
時間にしてほんの10分程でしたが、それでも彼は非常に喜び「もっと教えてくれ!今日家に来ない?そうだ!次の休みにピョンヤンに帰るから一緒に北朝鮮に行こうよ!お父さんが飛行機代を出してくれるかも!」
 
僕は彼の誘いを断りました。それは彼が北朝鮮人であったからではありません。どんな国の人間でも断っていたでしょう。
何故なら、出会ったばかりのクラスメイトに飛行機代を出してまで国に呼んでくれるなんて馬鹿げた話があってたまるか、と思ったからです。
その後、彼は「お父さんに聞いたら飛行機代までは出してくれないって。でも今度ご飯には行こうね!」と言われました。
 
余談になりますが、その数週間後に北朝鮮出身の彼はレストランの椅子の上に置きっぱなしにし忘れた財布を盗まれたと言っていました。
それは彼が北朝鮮人だから財布を盗まれたのでしょうか?国籍は全くもって関係ないですよね。
マレーシアに限らず、海外ではリスク管理が大切になります。ここは日本ではありません。いや、そんな状況だったら日本でも財布くらい盗まれているかもしれません。
 
数々の国を渡ってきましたが、犯罪率の低さという数値が示す通りマレーシアは比較的安全な国です。
幸いにも、周りの日本人が犯罪の被害にあったという話も聞いたことがありません。(旅行先のフィリピンやタイ・インドネシアでぼったくられた、スラれたというのはしょっちゅう聞きますが…)
マレー系・中華系・インド系のマレーシア3大民族共に、各宗教に対する信仰が他国よりも強く、「ばち当たり」という概念が強いことも関係しているようです。
 
面識のない人間について行かない、貴重品を置きっ放しにしない等、成人として基本的なリスクマネジメントが出来る人間にとってはマレーシア留学は自身を持ってオススメ出来ます。
それが出来ない人は、海外留学自体を再検討するべきであると考えます。
 
 
・最後に
マレーシア留学を検討中の方は、そこに北朝鮮人の居る・居ないではなく海外生活特有の日常生活上のリスクマネジメントを一番に考えて頂きたいです。
 
特に一番気をつけて頂きたい点があります。
留学生として世界中の友人たちと会話をする際には最低限、相手の意見に敬意を持ち、尊重するということです。それがもし、自分が同意できない意見でも、です。
 
日本の学生に比べ、海外の学生は自分の政治思想・宗教感に対して強いこだわりを持つ学生が多いです。頑なにそれを否定することは、口論のもととなります。
 
また、マレーシア国内にも日本と同じように治安の良い・悪いエリアがそれぞれ存在します。
一般的には各学校も治安を考慮して校舎を設置しているので、学校周辺を住まいする場合は治安に関して心配はいりません。
北朝鮮以外にもインドネシア・ネパール・バングラデシュ等からの出稼ぎ労働者が多いマレーシアですが、外国人労働者が多いエリアでなければ安全面においては問題ありません。